TROUBLE


土地の境界問題

筆界特定制度の利用

法務局と呼ばれる国の機関に申請をして、土地と土地の境目(専門的に言えば地番と地番の境目と言います。)である筆界を特定し、もともとの土地の境界を決めてゆきます。

筆界特定制度の良いところ?悪いところ?

法務局が主体となって筆界を特定してゆく制度で、裁判に比べて処理期間が短く(おおよそ6~9ヶ月と言われています。)、裁判に比べたら安価であること(費用については後で述べます。)、筆界と呼ばれる本来存在した境界を見つける作業である為、隣人関係の悪化の可能性が低いことから、制度がスタートしてから本日まで、非常に多くの件数が各法務局に提出されています。そういったことから国民の期待に応えている制度ではないかと私は感じています。
この筆界特定制度は本人で申請することが基本ではありますが、土地家屋調査士、弁護士、認定司法書士の専門家が申請代理人となって法務局へ申請することが出来ます。ただ、認定司法書士さんの場合、『基礎となる金額』が140万円を超える場合は筆界特定制度の代理人となることが出来ないという制限があります。
上記のように裁判より安価で迅速ではありますが、デメリットが無いわけではありません。いくつか例を挙げてみたいと思います。

1.所有権界と呼ばれる境界線(例えば…昔、おじいさん同士がした口約束の境界線や、建物建築工事屋さんが本来の境界と間違えて積んでしまったブロック塀境界など)には関与しない。
2.特定された筆界が線ではなく範囲(特定しきれない)でとどめられてしまうことがある。
ただ、法律上ではこのような表現になっていますが、千葉県に限って言えば今まで取り扱われた事件は出来る限りあいまいな特定を避け、しっかり筆界特定されていることがほとんどだと言われております。
3.申請人のみの費用負担。(特定申請を出された相手側は費用を負担しない)
4.特定箇所に境界杭を設置しない。

筆界特定申請の費用

次に筆界特定申請にかかる諸費用のご紹介をしてゆきたいと思います。
大きく2つの費用があり、申請時に支払う『申請手数料』と申請後に予納しなければならない『測量費用』です。更に代理人を利用して申請する場合は『代理人報酬』を支払う必要があります。
ここでは、本人で申請される場合と代理人さんを利用して申請される2つのケースで考えてゆきたいと思います。

【ケース1】本人申請の場合

1.筆界特定申請手数料の計算方法
A土地(申請地)とB土地の筆界を特定申請をするとします。
この場合の手数料の納付額は固定資産課税台帳に登録された土地の価格に基づいて算出されます。今回のケースの場合対象A地の評価額2,000万円と対象B地の評価額1,500万円の合計額3,500万円を2で割り、更に5%を乗じた金額が『基礎となる金額』に該当します。本件の場合は875,000円となります。

基礎となる額 切り上げ単位 単位 基礎加算額 計算式
100万円まで 10万円毎 800円 0円 (X÷10)×800
100万円を超え
500万円まで
20万円毎 8,000円 0円 {(X-100)÷20}×800+8000
500万円を超え
1000万円まで
50万円毎 1,600円 24,000円 {(X-500)÷50}×1600+2400
1,000万円を超え
10億円まで
100万円毎 2,400円 40,000円 {(X-1000)÷100}×2400+40000
10億円を超え
50億円まで
500万円毎 8,000円 2,416,000円 {(X-100000)÷500}×8000+2416000
50億円を超える部分 1,000万円毎 8,000円 8,816,000円 {(X-500000)÷1000}×8000+8816000

今回のケースの場合、90万円に切り上げられて、Ⅹには90が挿入されるので(90÷10)×800=7,200円が申請手数料となります。 ※なお、地番の無い土地や道路、宗教施設の用地などの非課税の土地が対象土地となった場合は当該地と類似する土地の固定資産税評価額で計算します。

②測量費用の計算方法
法務省は下記の通りの測量費用算出の指針となる文書を出しております。

多角測量 (測量の基準点から筆界を決める為の現地工作物を測る作業など)
日額 ÷ 480分 ÷ 指数 × サイクルタイム × 要員数
単価 = (外業報酬額 + 内業報酬額) × 諸経費率 × 加減率

復元測量 (不明確になった筆界を復元する為に行う事務所内作業など)
日額 ÷ 480分 ÷ 指数 × サイクルタイム × 要員数
単価 = 内業報酬額 × 諸経費率 × 加減率

面積測量 (特定すべき筆界を現地へ落とし込む作業など)
日額 ÷ 480分 ÷ 指数 × サイクルタイム × 要員数
単価 = (外業報酬額 + 内業報酬額) × 諸経費率 × 加減率

※ 語句の説明です
日額:各局で定めた内業及び外業に共通する一定の額
指数:内業に対する外業の作業効率を示し、内業の指数を1とした場合の外業指数は0.8
サイクルタイム:内業、外業のそれぞれの延べ作業合計時間数
諸経費率:測量作業の維持に必要な経費などを加算する場合の割合をいい、各局において10~50%までの割合を適宜適用して計算

ということで長々と計算方法を書いてみましたが、要するに測量作業者の人件費と諸経費です。この測量費用は担当することとなった、筆界調査委員と呼ばれる人が見積もります。
筆界調査委員とは法務局が依頼する外部専門家のことを言います。筆界調査委員は千葉県内に数十名いらっしゃいます。
ですから、その外部専門家の考え方によりその事件にかける作業量・測量費用は異なるので、ここでは一概に明言できないのですが 数十万円 の費用がかかることは覚悟された方が良いでしょう。

ケース2 代理人からの申請の場合

①筆界特定申請手数料の計算方法
ケース1と全く同じなので省略させていただきます。

②測量費用の計算方法
申請代理人が申請前に事前に測量・調査を行い、測量図などを添付した場合はその成果を元に特定の手続きが行われます。その代理人が添付した資料のみで特定手続きが出来るようであれば、法務局へ予納する手続き費用は無料です。
ただ、その資料だけでは足りない場合は法務局から追加手続き費用を求められることがある可能性もあります。

③申請代理人への報酬額
法務局への予納が回避される代わりに、代理人さんへ測量・調査費用と申請代理費用を納めることになります。各代理人さんの報酬額の目安があるはずなので、よく確認をしてください。
ちなみに当事務所では筆界特定においても通常の測量手続きに準じて計算しております。こちらを参照⇒ココをクリック

一人で出来る作業は1時間あたり5,000円程度、現地測量などの外業で二人以上の作業者が必要な場合は1時間あたり10,000円~ ということで計算しております。その作業に対して必要な経費率を計算し、立替金(申請手数料など)と併せて報酬計算しています。
本人申請(ケース1)と代理申請(ケース2)ではどちらが良いか??ずばりメリット・デメリットを挙げます。

本人申請のメリット ・申請代理費用がかからない分安くできる

本人申請のデメリット ・ご本人申請では慣れない作業が非常に多く、肉体的・精神的に疲れる
・筆界調査委員の作業が増える為、特定期間が長引く
・自分が予想していたところではないところが結果となってしまう可能性がある

代理人申請のメリット ・代理人さんに複雑な手続き・作業はお任せなので自分の時間を有効に使える
・申請手続きをする前に測量・調査をするのでおおよその結果は予測できる(その代理人さんの調査結果がご本人の利益にならないようであれば、申請することを止めることもできる。)
・本人申請より処理期間が短縮される

代理人申請のデメリット ・筆界特定にかかる総費用は本人申請より高くなる可能性がある